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9月から始めた、東京理科大学大学院 知的財産 戦略専攻科での「著作権とライセンシング」の講義、毎週火曜日に、同じ内容を1時間半x2回、夕方から夜にかけてやっています。1月の後期の終わりまで、15回の講義の予定ですが、ようやく7回まで終わりました。
いや、やっぱり初年度は、当然のことながらすべての授業が初めてなので、準備も大変だし、講義も緊張します。火曜日3時間教えて帰ると、水曜の朝なかなか起きられない。8月のうちに全15回分の講義の資料は全部パワポで作ってはおいたのですが、そのストーリー通りにはいかないんですよね。やっぱり、学生の興味とか、弱い部分、知りたい部分にスポットライトをもう少し当てたいとか、そういう調整がかなり必要になります。 今まで、7回講義をやって感じたのは、著作権の中身自体については、学生は他の授業で著作権概論などを取っていたりするのでけっこう知っているということ。それに対して、商標権概論を取っている学生は少ないようで、商標権のライセンスというとピンと来ない人もいるようです。ただ、著作権も最近の判例などから、新しい部分、たとえば電子書籍や、インターネットに関する、公衆送信権や、送信可能化権などについては、今年、著作権法の改訂があったので、良く知っていますが、そもそも論で、何故ベルヌ条約ができたのかとか、ベルヌ条約の問題点などについては知らない人も多いようです。また、先生によって、送信可能化権の解釈はだいぶ違い、中には、クラウドは違法だと言う先生もいるとか? まるで、マルクス経済主義を教えているみたいですね。 一方で感じるのは、ライセンスビジネスの現業をやっている人は、著作権法の改訂とか、来年におそらく行われるだろう商標権法の改訂などについて、割と知らない人が多いような気がします。公衆送信権はもちろんのこと、著作者人格権も著作財産権の名称も聴いた事もないという人もいます。 となると、ライセンス契約でも、インターネットや、スマホ、タブレット、通信機能を持つゲーム機器などを利用したライセンスの契約書などでも、「商品化権」という六法全書に載っていない業界用語で処理してしまっている例も多々あります。 また、著作者人格権の扱いについても、デジタル化によって、大変微妙な領域に踏み込んできているにもかかわらず、何の記述も無い契約書を良く見ます。特に「同一性」はデジタルでは、簡単にグラフィックの変更ができるので要注意点です。 今、このブログで、これらの権について、こう書いたほうが良いというのは、ライセンサーとライセンシーのどちらに有利になるかで、文言が全く変わって来るので、ここでは書きませんが、契約をする際には、是非、弁護士かコンサルタント(私に!!)、ご相談をご用命くださいませ。 このところ、これら著作者人格権や、公衆送信化権の問題で、けっこう見せしめのように、一斉の刑事摘発が行われていますね。著作権法には刑事罰が適用されるのですが、こんなに毎日新聞やテレビに載るのも、著作権法改正をアピールするためではないかと思いますが、実際の立件は、「わいせつ電磁的記録媒体陳列容疑」なども出てきます。なかなかおもしろいです。 ともあれ、この講義、来年も講師をやることになりました。新入社員の試用期間が終わって、正式採用されたような気がします。中には、学生からクレームが来る場合もあるとの噂も聞きましたので、「草間先生の授業、やばいすよー。」とか言われないか(東京理科大の生徒は真面目なので、そう言う言い方はしない)、そしたら半期でクビだなぁと思ってましたが、やれやれ、最初の関門は突破したようです。 あと、残りの半分、良い授業にして行こうと思います。
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| 2012-11-09 16:30
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