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「ブランドは消費者の中にある消去可能なフラッシュメモリーだ。」と
、どこかの大学の先生が言っていました。僕かもしれません。 三菱自動車が、またやってくれました。幸か不幸かちょうど韓国大統領選の日だったので、ニュースの扱いは小さかったですが、それでも日経やNHKはかなりのスペースを割いていました。120万台にものぼるオイル漏れの欠陥を、リコール扱いにせずに隠していたんですね。それが国交省に知れた後もリコールの届け出を出さなかったので、ついに警告を受けてしまいました。2000年にも関連会社の三菱ふそう共々三菱自動車は数多くのリコールを隠していることが発覚し、死傷者まで出しました。その結果業績もブランドイメージも地に落ちるところまで落ちたのですが、その後ミーブなどの電気自動車の開発やダカールラリーでの健闘で、少しづつまたブランドイメージの回復を図っていた矢先、自分の手で自分の首を絞めてしまいました。 冒頭書いたように、ブランドとはマーケティング的には、その保有者が持っているものではなく、消費者の心の中の「思い入れ」なのです。過去にも日本では、雪印や不二家が自身の手でブランドイメージを傷つけて、消費者ばなれを起こし、前者はオーナーシップが交代し、後者は本社ビルを売却したものの、「ペコちゃん、ポコちゃん」に助けられて、今、そのキャラクターをライセンスして、きちんとした再生の道を歩んでいます。 ブランドは傷ついても、その後の対処で再生は可能なのです。前にも話したかもしれませんが、アメリカでタイヤがパンクして死傷者を出した、エクスプローラーという4WD車を製造販売していたフォードと、エクスプローラーにタイヤを供給していたブリヂストンの子会社のファイアストンが、三菱自動車と同じ2000年頃に、タイヤの空気圧の指定の問題が原因か、それともタイヤ自体の品質が原因なので、お互いに責任のなすり合い闘争を起こし、精神的に疲れ果てたブリヂストンから出向していた日本人のファイアストン社社長は、全責任を認めて上院の公聴委員会で謝罪してしまったのでした。フォードは、してやったり、ニヤニヤとしました。小野さんというファイアストンの社長は日本に召喚になり、その後ファイアストンでたたき上げのジョン・ランペが社長になりました。そしてランペはあろうことにその後もあやまり続け、犠牲者の家族に毎晩手紙を書きました。これはアメリカのトラブル処理の常識とは真反対のやり方でした。 しかし、その結果、米国民は、日本の子会社であるファイアストンを「真摯な態度は立派だ、もう許そう」として、ファイアストンは2年間で自粛していたレースに復帰まで果たしたのです。 一方、アメリカ流に、超一流の弁護士をそろえて勝ったはずのフォードは、共和党の有力者、トージン上院議員に「ファイアストンだけが悪いという、フォード側の主張は、何かを隠そうとする作為的なものを感じる。」とばっさりと言われ、世論からも「卑劣だ」と言う評判が立ち、エクスプローラーは長く保っていたSUVのNo.1の座を明け渡し、社長の切れ腕で評判だった、"ジャック・ザ・ナッサー”と呼ばれたジャック・ナッサーCEOは、一連の対応と、業績不振の責任を取って公聴会の翌年の2001年には辞任に追い込まれました。 僕は、たまたま20代のころからブリヂストンに友人がたくさんいて、一時はウィンドサーフィンをやっていたころ、ブリヂストンのチームのはじっこにくっついて、寮を使わせてもらったりしていました。その頃からブリヂストンは日本の真面目な技術者の会社というイメージを持っていました。「悪いことは謝ってただす」、子供みたいですが、そういう真面目な会社でした。ブリヂストンの本社内には、有名なブリヂストン美術館がありますが、ブリヂストンの社員は「あれは創設者の石橋が個人で築いた財産です、私どもは名前は出していますが、技術屋ですから、美術のことはわかりません。」とずっと言ってきています。1980-90年代のバブルの頃、色々な企業が自社名を大きく打ち出して、メセナだなんだと、やたら芸術に出資をして、それを宣伝に使っていたのとは大違いです。 このブリヂストン/ファイアストンの、タイヤパンク事故の対応は、テレビのドキュメンタリー番組にもなりました。残業して遅くまで、ペンを持って手紙を書くランペ社長の姿が印象的でした。ランペは、2004年の在籍30年まで勤め栄誉をたたえられて引退しました。 そして、アメリカは、この時に、日本人の姿勢を学んだのです。以降の、事故や過失への対処はあきらかに変わりました。 ところが、三菱自動車は、何も変わっていなかったのです。僕が大学生の時に一生懸命バイトして買った最初の車は、中古の三菱ギャランでした。三菱のダイヤモンドマークが車についているのが誇らしかったです。これは僕という消費者の中にあるメモリーに三菱が燦然とブランドとして輝いて記憶されていたからです。 しかし、僕は、2000年の事件のあとも、「また、きっと同じ事が起きるよ」と友人に言いまわって、三菱車を買わないように言ってきました。残念ですが、それが良かったと言えることになりました。 結局、ブランドをオーナー側で育て、守るのも人なのですが、三菱は社長のクビのすげ替えしか行っていなかったのです。リコール隠しを一度した人は又やる。再犯率の高い性犯罪みたたいなものですね。(書き方がひどい?いや、書き足りません。人の命を奪った事故があったのですから。) 運の悪いというか、相乗効果というか、翌日の12付22日には三菱電気が防衛庁に370億円の水増し請求を行い、この不正調査に協力せずに隠蔽したというニュースが出ました。 真面目にやっている、他の三菱の名前を冠する会社のイメージも当然悪くなりますね。 三菱は三菱金曜会という28車からなる、社長の集まる会を持ちグループ意識の強い会社です。ですが、もう、三菱自動車は、岩崎弥太郎が作った三菱の名を汚し続ける毒のようなものです。グループから外し、社名も代えて再出発することです。できれば、ゴーンさんの下、ルノーか日産の子会社が良いと本気で思います。 昔からの三菱自動車のファンとして、何度も悲しい思いをし、またブランドに関わる仕事をし、学生に教える身としては、ブリヂストンのような例は誇りに思えますが、三菱自動車は、この後ブランドの世界では悪例として何十年も語り継がれてしまうことが残念でなりません。 ライセンスにおいても、フォードはちょうどその頃コーポレイトライセンスを始めた頃でしたが、GMに大きく水を明けられました。エクスプローラーの玩具を作っていたところなど、たまったものでは無いでしょう。三菱自動車は日本ではライセンスはあまりやっていませんが、それでもゲームなどでは車種ライセンスをしていますし、北米では相当な規模でライセンスをしています。 こういう問題が起こった時に、ライセンサーはライセンシーに、遺失利益の補償はしてくれません。そんな契約条項はないからです。しかし、今後、ライセンシーとしてそういうことも念頭に入れて契約に臨まなければならないでしょう。三菱自動車のライセンシーになることは、大変なリスクをともないます。三菱自動車、三菱ふそうの経営陣は、あの事件で有罪になったのです。本気で会社を代え、人を変えない限り、また同じことを繰り返す確立は高いでしょう。賢者危うきとライセンスするなかれですね。
by Licensing
| 2012-12-22 15:14
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