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5-6年前にピークを迎え、世界での売上げ(小売価格)トータルが1兆円を超えたと推測された自動車ブランドのコーポレイトライセンスビジネスも、その後、自動車がやや社会悪のように取られるようになり、市場は縮小しました。最も成功して、最もその影響を受けてしまったのは、JEEPでしょう。
一方で、世界で最も有名なスポーツカーであるフェラーリは、そのような状況にあってしても、ライセンスビジネスの売上げを伸ばしているようです。 通常のコーポレイトライセンスのミッション(意義)は、「サポート・ザ・コアビジネス」であり、ライセンス商品が売れることが、その企業の商品の売上げのアップ、イメージのアップにつながるような戦略が取られます。ですから、高級車の場合は、ライセンスビジネスには慎重で、レクサスのように”やらない”という選択もあります。また、ポルシェのように、ライセンス商品でもデザインはすべて、ポルシェデザイン社で行い、高価格帯商品を少量しか作らせない例もあります。その他、メルセデス、ジャガー、マゼラッティなども同じように、ライセンスビジネスには非常に慎重です。自動車でライセンスビジネスに積極的なのは、やはり一般的にやや高級な車や特徴のある車、コルベット、カマロ、ムスタング、フォード(社名自体)、ミニなどです。唯一例外なのはニッサンのGT-Rで、これはゲーム業界では神格化されている自動車ブランドです。GT-Rのライセンスが取れないと、公道で走れる車のレース関係のゲームは成立しないのです。 さて、フェラーリの場合は、もともとはF-1でのレースカーのフェラーリを前に出してライセンスを成功させて来ました。ヨーロッパやアメリカにフェラーリショップを展開してきました。 ミラノのフェラーリのフラッグシップストア この戦略も非常に積極的な展開だと思いますが、一方で、安価な商品にもライセンスを行って来ています。たとえば、売価1万円以下の幼児用乗用おもちゃ、¥2,000-程度のラジコン、スポーツブランドとのコラボ商品もリーズナブル価格で、ライセンスしています。 過去には、KDDIと携帯電話(PHS?)でもライセンス契約をして大成功をしました。しかし、極めつけは、今年から始めたフェラーリのクレジットカードでしょう。おそらくJACCSへのプロモーションライセンスだと思いますが、大々的に広告展開で加入者募集中です。通常、自動車ブランドのクレジットカードは、その車の所有者を対象として、点検やアクセサリーを買うのに特典があったりするのです。(ホンダカードの例) しかし、このフェラーリカードは 正式名を "Ferrari Fan Card"と銘打って、おそらくはフェラーリの所有者はおろか、潜在的なユーザーも超えて、広い消費者層をターゲットとしていると思います。なにしろ、年会費¥3,000-で支払いはリボ払いのみ。フェラーリのオーナーがリボ払いするとは思いませんねー。カード使用限度額も¥50万円 or ¥100万円、これでは車検も通せないと思います。 このカードは、フェラーリの強いブランド力を利用して、それに憧れる人々を顧客に誘導しようというマーケティングです。決して、"Support The Core Business"ではない。他の自動車ブランドで、このようなカードを作っても、客が付かないでしょうし、車のブランドイメージも悪くなるでしょう。では、ブランド力が強ければ、こういうことが出来るのか? フェラーリのブランド力(Brand Power)は、ブランド力と資産価値調査で世界で最も権威のあるインターブランド社の2012年のレポートでは99位です。上には10位にトヨタ、11位にメルセデス、12位にBMW、以下ホンダ、フォルクスワーゲン、フォード、ヒュンダイ、アウディ、ポルシェ。ニッサン、キアと多くの自動車ブランドがランクインしています。なのに、何故、フェラーリだけにこいういうライセンスが可能なのか? それは、まず、インターブランド、ランダーなどのブランド力調査会社(Brand Equity Evaluator)が、分析する項目(秘密になっていますが、主要なものは、好意度、想起度、認知度、売上げ累計、株価総額などなど)のうち好意度や想起度が飛び抜けて高いのがフェラーリだと思われることが、ひとつあります。スポーツカーと言えば、フェラーリ、F−1と言えばフェラーリというのが、想起度が高いということになりますが、これが強いことは、イコール購買の可能性が高いということにはなりません。消費者の頭の中のメモリーに、フェラーリがそういう位置を占めているということです。普通、その位置はライセンス商品によって崩されてしまう恐れが多いのです。チャチな品質のおもちゃ、それらが売られている売り場など。だから、メルセデスは安価な乗用玩具をやりません。メルセデスの乗用玩具は3万円くらいして、とても子供用とは思えない金額です。 しかし、フェラーリには、ブランドとして、そのくらいのことでは揺るがないステータス性、あこがれの的としての地位があると、ブランドオーナー自身がわかっているのです。ですから、あまりリスク考えずにライセンスビジネスを拡大できます。彼らにとっての最大のリスクは、F−1でのランキングが下がることです。 フェラーリのブランドオーナーはイタリア最大、ほぼ国営の自動車会社、Fiat Spaです。傘下に、フェラーリの他に、フィアット、アルファロメオ、マセラッティ、ランチア、アバルトなどのブランドを持っています。これらのブランドはフィアット社のライセンス部が統括していますが、その部署はフェラーリの本社があるモデナにあります。僕は一度、その責任者と話したことがありますが、その時、彼は「アルファロメオをフェラーリなみのライセンスブランドにしたい」という相談を持ちかけて来ました。フィアットの中では、F−1に出場したことのあるブランドが上位に考えられ、それはフェラーリとアルファロメオしかないのです。しかし、日本でも世界でも、アルファロメオは「大衆的なスポーツテイストカー」であり、「プアマンズ・フェラーリ」にもなっていません。ですので僕は、アルファロメオのライセンスは忘れた方が良いとアドバイスしました。今でもそう思います。フィアットの中では、フェラーリ、マゼラッティ、チンクェントがライセンスの可能性の高い順ではないでしょうか? そして、また、フェラーリはブランドのトランスファー力も強いのです。トランスファー力というのは、他の商品にフェラーリブランドを付けて、その商品が成立する力です。コカ・コーラなどは、「さわやかさ」というイメージの元に、広いトランスファーが可能ですが、ハーレーダビットソンなどはトランスファーは狭いでしょう。 フェラーリは車を超越したブランドとして広いトランスファーが可能です。なぜなら、人々はフェラーリに憧れながら、とうてい買えないことを最初から自覚していますので、代替商品を探すんです。代替商品が、おもちゃであったり、財布であったり、Tシャツであったり、模型であったり、携帯電話だったり、はたまたクレジットカードになるということです。 フェラーリのライセンス売上げは、多分、ここ数年でジェネラル・モータース(シヴォレー、キャディラックなど)を抜いて、世界一になっていると思われます。スーパーライセンスブランドですね。 また、何かの機会にこのようなスーパーブランドのライセンスのお話しをすることもあるかと思いますので、今日はこれくらいにしておきます。(これでも充分長い.....)
by Licensing
| 2013-08-24 11:56
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